URBAN NEUTRAL代表 ミニマル・インテリアデザイナーのシンプルライフブログ


2018/01/18

断熱性能を発揮するには、断熱の仕様ではなく、断熱工事を行う職人の施工技術が要  断熱リフォーム、断熱性能住宅の知られざる盲点

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ここのところ毎月東京に出張しています。

 

その理由のひとつが、

リフォーム工事の技術的な研修に行っているからなんですね。

 

 

 

 

と言っても、

職人として研修に行っている訳ではなく、

設計的な立場で、現場の職人さんにしっかり指示が出せるよう

リフォーム工事全般の具体的な施工技術を学んでいます。

 

 

 

 

今年は施工管理技士の資格を取る予定ですので、

少しでも現場施工管理に役立つことは徹底して身につけるべく学んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

そして今回学んだのが ”断熱工事” 

 

 

断熱リフォームは、

気密性の高いマンションよりも一戸建住宅で注目されるリフォームです。

 

 

この断熱リフォームは、職人さんの腕次第でその性能に違いが生じてしまうことを

今回の技術研修でまじまじと思い知らされました。

 

 

 

 

 

 

つまり、どんなに断熱材をしっかり使った仕様書を作成しても、

現場サイドで正しい知識を持った職人さんが、

丁寧に工事を行わない限り断熱効果が発揮されないという事。

 

 

 

 

 

 

特に、グラスウールの断熱材を使う場合は、

断熱性能に雲泥の差ができてしまったり、

壁内結露の発生など深刻な問題に繋がってしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

例えば、壁と床の見切り部分に断熱材を貼るケース。

写真は施工研修場所の写真。戸建て住宅の外壁側から撮影しています。

 

 

 

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写真のように床の根太の部分に断熱材が乗っかって隙間が出来てしまっています。

このような施工状態は完全にアウトです。

 

 

グラスウールの断熱材は膨らんだ状態でないと

断熱性能が著しく下がってしまいます。

 

写真のように湾曲した部分は、

断熱材が圧縮されてしまっているので断熱性能が悪くなります。

 

 

しかしそれ以前に、

写真のように根太周りに隙間が出来てしまうと

空気の流れ道が出来てしまうのでよろしくありません。

 

 

 

正しくは以下の写真のように

根太に当たる部分を現場状況に合わせて

事前にカットする必要があります。

 

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耐震性能を向上させる筋交いのある壁に

断熱材を入れる際も、断熱材と筋交いが当たる部分の断熱材を薄くする必要があります。

これも断熱材を潰さず、空気の層をしっかり確保する為。

 

 

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筋交い部分の場所をしっかり割り出して、

中のグラスウールを筋交いの厚み分ちぎります。

 

 

 

 

 

実際に施工して実感しましたけど、

これってとっても手間なんですね。

 

 

研修に来ていた現場監督さんも

こんなに丁寧に施工を行なっているケースは少ない

と言っていました。

 

 

 

 

実際の建築現場では、納期が優先されがちなので

現場監督も職人さんも納期や効率を優先する・・・ 

 

 

 

ましてや断熱材の知識が豊富な大工さんは少なく

施工にしっかり時間をかける丁寧な大工さは皆無かもしれない・・・

 

 

 

だから、断熱材がしっかり入っているのに断熱性能が悪かったり、

断熱材に湿気や気流が出来やすく、

黒カビが発生してしまうケースが多いということ。

 

 

特に大事なのが ”気密性”

どんなに断熱材をふんだんに使用しても

正しい施工と、気密性が守られていないと

あまり意味がありません。

 

 

 

実際にチームで施工を行い、

断熱施工後に防水シート&気密テープで隙間を無くしてみました。

換気扇を回しながら負圧をかけて、

冷たい外気が屋内に侵入して来ていないか

サーモカメラでチェックしています。

 

 

 

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気密性を保つには、

コンセント周りの気密もしっかり行う必要がります。

 

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写真のようなカバーを使用して、

防水シートに気密テープでしっかり固定し

空気の漏れを防ぎます。

 

 

外気を吸い込むためのダクトや、

換気扇のダクトも気密性を保つ必要があるので

こんな部材を使います。

 

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最近では高断熱・高気密住宅と仕様で謳われている

住宅メーカーも沢山ありますが、

サーモグラフで測って見たら断熱性能があまり出ていない

残念なケースも見受けられるそうです。(特に低コストビルダー)

 

 

 

これらは全て、現場で正しい施工をされていない為に

起きてしまったケース。

 

 

 

 

このようなことを未然に防ぐには、

第3機関を利用して施工状態をチェックしたり、

施工経験豊富な業者を使うのが鉄則。

 

 

しかもチェック体制を業者に任せっきりにせず、

自分自身でしっかりチェック出来る知識と知恵をつける必要もありそうです。

 

 

吹き付けタイプの断熱材を使用するというのも、

大工さんではなく専門業者が施工しますので

施工ミスが起きにくいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

一方で、メリットがあれば必ずデメリットが生じるのがこの世の常。

 

 

 

断熱性能の高い住まいはメリットも高い分コストも高い・・・

当然断熱リフォームも、

家全体の気密性も確保する必要があるので

家全体の床天井、全ての壁をいじる大掛かりなリフォームになります。

 

だからコストもとんでもなく掛かる・・・

 

 

 

 

ちなみにマンションの場合は、もともと気密性に優れているので

一戸建住宅に比べると断熱性能も高く冬は特に暖かいですね。

戸建ての住宅に比べたら、シビアな断熱工事もそこまで必要にはなりません。 

 

 

ただしマンションの最上階のお部屋などは

 

蓄熱しやすいので真夏が暑い・・・

もちろん一戸建ての2階部分も夏は暑いですから

そう考えると断熱性が有利なのはマンションです。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、断熱性能が話題になって来た理由に

ヒートショックによる溺死という社会問題があります。

 

 

 

 

ヒートショックが原因で亡くなるリスクは、

冬の季節に集中します。

 

 

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統計で調べると、

入浴中に溺死で亡くなる人(ヒートショックが原因)の数は年間なんと19000人!

同年交通事故で亡くなった方の4倍にもなります。

(H25年度統計)

 

 

12月から2月の3ヶ月に死亡者の半数程度が集中していて、

死亡者の約84%程度が65才以上です。45歳以上だと約95%になります。

 

 

これ、お部屋の温度差だけでなく、

熱いお風呂に長い時間入るという習慣によってもリスクが増えています。

飲酒後の入浴はさらにNGとのこと。

 

 

 

 

 

 

断熱性が悪い・・・

断熱リフォームをする予算もない・・・

 

そんな場合は、

お部屋とお風呂場やトイレなどの温度差がないように

洗面所やトイレなど暖房費をケチらず過ごしましょう。

 

 

 

 

そして、熱いお風呂は避ける。

お湯を張る時などに、熱いシャワーを使用して

湯船にお湯を張ると浴室自体を暖かくしてくれます。

 

 

そしてお酒を飲むなら、先に入浴を済ませてから

お酒をいただきましょう。

 

 

 

 

 

【ヒートショックを防ぐ日々の習慣】

・暖房費用はケチらない

・局所暖房ではなく全体暖房(セントラルヒーティングのようなイメージ)

・特にお部屋の温度と浴室トイレなどの温度差は少なくする

・上記を考えると戸建て住宅よりマンションの方がヒートショックのリスクが少ない

・お風呂は41度まで。熱いお風呂は避ける(替わりに浴室を温める)

・お酒を飲んだ後には入浴しない。飲むなら先に入浴を済ませる

・10分以上お湯に浸からない

 

 

 

リフォームで寒暖差をなくすのも一つの方法ですが、

こんな習慣も自分の命を守る自己投資になりそうですね。

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